先月は5月とは思えない暑さになりました。これからの時期は自宅で洗えるポリエステルのスーツを着用される方も多いと思います。そこで質問ですが、みなさんは化繊のスーツを着ている時に裏地が肌に張り付いて不快な思いをされたことはありませんか?
そのお悩み、意外にも夏用の「ウールスーツ」だと快適に過ごせることがあるんです。今日は、ウールのスーツが夏でも快適に着られる理由を探っていきたいと思います。
実は暑さに強い「ウール」という素材
冬のセーターなどに使われ「保温」のイメージが強いウール素材。実は夏用のスポーツウェアでもよく使われるのをご存知ですか?紳士服の長い歴史の中で暑い夏でもウールが選ばれてきた理由は、羊毛が持つ特徴にありました。
それでは早速、夏でもウールをお勧めする3つの理由を見ていきましょう!
1. 蒸れにくい
羊の毛にはポリエステルの40倍の吸湿性があるため、汗をかいてもサラッと快適。この恩恵を受けるためには、スーツの下に着用するシャツにもこだわりましょう。スーツメンテのオーナー寺前がオススメするのは綿素材の長袖シャツ。ウールに汗を吸湿させるための良き仲介役となってくれるでしょう。
2. 温度変化を和らげてくれる
ウール繊維には空気の層が豊富なため、急激な温度変化を和らげてくれます。夏用のサマーウールなら通気性が良いので涼しく快適。温度変化の大きい春&秋シーズンはもちろん、夏の暑さやエアコンの冷えによる体の疲労を軽減してくれます。
3. 臭いにくい
羊の毛にはニオイを緩和する性質があり、防臭効果を謳ったスポーツウェアや靴下製品にはウール素材を使用したものが少なくありません。夏でも清潔感あふれるクールなビジネスマンでいられるように、暑い時こそウールが選ばれてきた歴史があるのです。
スーツとしての美しさ
様々な素材が存在する今日においてもウールスーツが愛される理由はやはり「上質な光沢」「美しいシルエット」「シャープな折り目」といったスーツならではの美しさではないでしょうか。
紳士服文化の長い歴史の中で培われたウールの美しさは現代においても我々の心を惹きつけるものがあり、夏でもこれをスマートに着こなせる大人は魅力的ですよね。
サマースーツの生地は冬用よりも通気性がよくなるように薄く作られているため、動きに合わせてボディラインをカッコよく見せることができ、生地が風にひらめく滑らかな質感も粋なものです。
こういった面からも、フォーマルシーン、ビジネスの重要な局面、そして嗜好品としてのスーツには、やはりウールが選ばれ続けているのです。
家でのメンテナンスは「吊るして干す」だけ
ウールはメンテナンスが面倒と思われがちですが、毎回クリーニングに出す必要はありません。基本的には「吊るして干す」これだけでOKです。アイロンをかけなくても自然とシワが伸びてくるので手間にはなりません。生地の質感を保つためには時々ブラッシングを行うと良いでしょう。
スーツの美しさを保つポイントは「早めの修復」。シルエットの崩れ、風合いの変化、ほつれ、ボタンなどパーツの異常は、症状の軽いうちに見つけて修復することが重要です。着用の頻度にもよりますが、少なくとも1シーズンに1回はプロのメンテナンスを依頼されることをお勧めします。
なお、オーダーメイドのウールスーツの場合、持ち主様の体に合わせて細かく調整されたシルエットや上質な生地の質感を復元させるには、街のクリーニング店の技術だけでは難しい場合もあります。スーツのメンテナンスに不安がある場合は、ぜひ一度スーツメンテの診断をお申し込み下さい。テーラーも認めた経験豊かな職人があなたのスーツをメンテナンスさせていただきます。しっかりと手入れされたお気に入りのスーツは、持ち主様と共に人生を歩む最高の相棒となることでしょう。
まとめ
以上、今日は夏こそウールスーツをお勧めする3つの理由をご紹介させていただきました。ご家庭での扱いやすさといった点では化繊のスーツには敵いませんが、美しいシルエットと質感はウールにしか出せないものがありますよね。この夏はウールスーツを着こなして洗練された大人のスタイルを目指しましょう!
